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特集>ごみ発電は失敗だったのか? その1

過去に報じられたニュースソースから考察して見ました。

ごみ発電施設「失敗」 地元自治体、補助金3億円返還へ(朝日新聞)

(記事より引用)
ごみを処理しながら発電して年間2千万円の収入が
見込まれる「世界初の施設」として、鹿児島県いちき
串木野市が導入したごみ処理施設について、会計
検査院が「施設の審査が不十分で、計画通りに稼働
していない」と指摘していたことが分かった。指摘を受
け、環境省などは同市に国の補助金約3億1千万円
の返還を求める考えだ。

市は返還に応じる意向で、開発した東京工業大学
大学院教授やメーカーらを相手取り、建設費など
約10億5千万円の損害賠償訴訟を起こす方針を
固めている。

施設は「市来一般廃棄物利用エネルギーセンター」
(同市)。技術開発をしたのは東工大大学院の吉川
邦夫教授(55)で、同教授が社長を務める設計会社
「エコミート・ソリューションズ」(神奈川県相模原市)が
設計、三井三池製作所(東京都中央区)が建設を担当。
国庫補助金など総額9億9千万円で建設し、04年4月
に完成した。

一般ごみを焼却し、発生したガスでディーゼル発電でき
るのが特徴で、1日24トンのごみを処理し、売電で年間
2千万円の収入を見込んでいたが、ごみ焼却から高純
度のガスが安定的に出なかったことからほとんど発電
出来ず、機器の不具合もあり、ごみ処理も当初計画の
3割弱という。

田中正幸副市長は「税金で建設するごみ処理施設で、
実験はあり得ない。講演では実行可能だと話していた
はずだ」とし、「(教授から)抜本的な助言はもらっていな
いし、今では音さたもない」という。

吉川教授は取材に対し、「改善について、市にはアドバ
イスをしている。実行してくれればいい。もともと共同研究
という位置づけで、完全に能力を発揮するまで3年はかか
る」と説明している。
(引用ここまで)

お互いが責任を擦り合っている印象を持ちますが、要は
お役所・民間企業・研究者の身勝手な感覚が、根本に
あるのだと思いますよ。役所は専門的な部分は現場に
任せたままでしょうし、設計した企業は大学教授の配下
にあるので、実質教授の意向が強く働いていたはず。
全く無関係であるはずがありません。施工した側に至っ
ては、「設計通り」と言い逃れするに決まっています。

発注した役所にしてみれば、補助金も貰えて工事も出来
るし、世界初の設備として自治体の名前も売れる上に、
共同研究に一役買えたと言う自負も残ります。

しかし、今ではお互いが自分の主張を一方的に述べる
のみであって、既に信頼関係は破綻してしまっています。

この問題は根深く、いちき串木野市の市報No.21(2007年
7月20日発行)にも、経緯が記載されていました。

(市報より引用)
市来一般廃棄物利用エネルギーセンターは、ごみ処理時
に発生したガスを利用し発電を行い、施設でまかなった後
の電気は売電し、余熱を利用して農業振興を図るという計
画でした。

ごみ処理開始後3年が経過しましたが、ガス中に含まれる
タール、アンモニア等が除去できないため発電機を回せな
い現状です。これまで改善工事が行われましたが期待した
ような成果は得られておりません。

平成17年9月に行った改善工事に係る費用負担が書面に
よるものでなかったために、基本設計をした会社が支払い
を拒否したことから、市として調停の申立をしましたが不成
立に終わり、現在市の顧問弁護士と協議中です。
(引用ここまで)

「改善工事に係る費用負担が書面によるものでなかった」
と言う説明文を見て驚かされます。恐らく、相手方が支払う
ものだと言う身勝手な常識が、双方にあったのではないで
しょうか。しかし、口約束のような方法で工事が発注できる
のか疑問であります。工事を請け負った方は、どんな支払い
の担保を貰っていたのでしょう。

この計画の背景には、相当に身勝手な論理が支配的であっ
たと見る以外にありません。

その後、いちき串木野市議会では市来一般廃棄物利用
エネルギーセンター調査特別委員会の調査結果が報告
され、発案者である東京工業大学の吉川邦夫教授を参考
人として招致して意見を求めています。その中で教授は、
「契約については実証性格を有する共同研究事業であり、
性能が出るまで予想しないことが起こり得る」と言う意見を
述べています。

つまり、教授の中では「共同研究」の一環であり「製品」を
提供したと言う意識が無いわけです。

ここで、関係者の名称をまとめて見ましょう。

発注者・・・市来町(現・いちき串木野市)
発案者・・・東京工業大学教授・吉川邦夫氏
基本設計と施工監理・・・エコミート・ソリューションズ
実施設計と本体工事・・・三井三池製作所
発電部門の施工・・・ヤンマー、他

現在、上記の関係者(企業)は誰も責任を取ろうとしない
まま、現在に至っています。ただ、施工した業者としては
設計された内容で工事を行っている以上、責任は負わな
いのは自明です。責任を負うべきは設計者側にあります。

吉川教授は、東京工業大学大学院総合理工学研究科で
環境理工学創造専攻の工学博士であり、小型ゴミ発電と
熱利用のSTAR−MEETシステムを開発した人物です。
国立大学の教官でありながら、民間企業の役員兼業が
認められたのは2000年の4月であり、自らもベンチャー
企業の設立者です。

当時発注者であった市来町の大久保幸夫町長は、人口
7000人の小さな町を小型ゴミ発電の先進的な技術で町
興しが出来ると考えた様です。循環型社会の実現と知名
度向上による雇用促進効果を、同時に狙っていたのかも
しれません。なにしろ、技術としては世界初なのですから。

財団法人川崎市産業振興財団のニュースレターNo.16
(2004年6月20日発行)に、件の教授の顔写真と道のりが
掲載されていますが、そこにあるのは経営者としての活動
に長けている教授の姿であり、信頼の置ける気鋭な人物
として描かれています。まさか、その後で「共同研究」だっ
たと言い訳をする様になるとは、誰も思わなかったでしょう。

失敗する事を前提に、工場を建設するわけがありません。
町の財政は決して楽なものではなく、10億5千万円の投資
は町興しが目的なのであり、「研究」目的であるわけがない
のです。研究に失敗して町が興せるなら誰も苦労などしま
せん。

結局、後を引き継いだ形のいちき串木野市が、関係者を
裁判で訴えました。9億8345万円の損害賠償を求めて。

(次回に続く)
コメント
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/08/18(火) 09:08 | | #[ 編集]
コメントありがとうございます
うーん、やっぱり人物に難があるって事なのでしょうか?
問題が大きくならなければいいのですが・・・。
2009/08/18(火) 19:37 | URL | 管理人です #-[ 編集]
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